こんなん徒然草生えるわ

研究であったり、日記であったり、趣味であったり

合コンマスターホワイトカラーズ

あなたは名もなきオタクです。カラオケではなるべく影を薄く保ち、鏡を見れば気分が滅入るタイプのオタクです。しかし、合コンマスターとして輝く可能性を秘めたオタクです。

かのかりを見て千鶴さんみたいな彼女がほしいなぁと漠然と思っていた貴方ですが、ある日、またとないチャンスが巡ってきました。8ヶ月後に迫ったS級美少女の集まる合コン番組「D.I.C.K(Dick Is Completely Kachikachi)」への招待状が届いたのです。

過去に参加した女性のラインナップに水原千鶴似の女性を見つけたあなたは、この合コンへの参加を即座に決意しました。D.I.C.Kに向けたセルフプロデュース活動の始まりです。

とりあえず最初の2ヶ月はメンタルを鍛えることにしました。肝心の本番でメンブレしてはお話にならないからです。あなたは相席屋に行って可能な限り多くの女性と話をし、その結果女子の前で目を泳がせる回数が減りました。

次の2ヶ月は相席屋でメンタルを鍛えつつ、合コンでの立ち回りも練習することにしました。音痴で顔も微妙なあなたに残された最後の武器は華麗な立ち回りに他なりません。参加した街コンで友達に教えてもらったトークスキルを使ったところ、なんとその場はあなたの話題でもちきりになりました。

5ヶ月目からは実戦経験の積み重ねが本格的に始まりました。何事も経験が一番です。この頃になるとどのような系統の街コンに参加すれば自分が輝けるか、あなたは熟知しているようでした。地道な合コンスキルの開発や自分磨きも忘れずにやったことで、連戦連勝の日々が続きました。

そうして8ヶ月が経ちました。すっかり合コンマスターとなったあなたにとって、D.I.C.Kは晴れ舞台となるのでしょうか。

最初は一次会です。意外にも女性陣は外見よりも中身を重視するタイプだったので、立ち回りに長けたあなたは他のイケメン達を押さえ、女性陣の評価を一手に集めることに成功しました。

さて、二次会です。厳正なくじ引きの結果、会場はカラオケに決まりました。ここで隣の参加者を見ると、尖ったファッションに身を包んだ前髪が重めの好青年がいました。

そう、バンドマンです。

トークスキルを伸ばすのに必死で、音痴を治すための時間を持てなかったことをあなたは深く後悔しました。しかし時は巻き戻りません。トップアピールは無理でもせめてラストアピールぐらいはかっさらおうとした必死の立ち回りも虚しく、二次会の花形はそのバンドマンという結果に終わりました。

 

一世一代の合コンが終わり、あなたは携帯のトークアプリをじっと見つめていました。

ずっと、見つめていました。