こんなん徒然草生えるわ

研究であったり、日記であったり、趣味であったり

昼下りのコインランドリー

コインランドリーの

ベンチに座る

初夏の午後

 

などと風流じみてみたものの、実際のところそんなにいいものではない。僕のよく使うコインランドリーはかなり旧式の造りをしていて、ドアは開けっ放し、クーラーなどの空調はなし、おまけに背後の乾燥機が熱気を垂れ流しているという有様だった。

ベッドのシーツと枕カバーを洗うため、僕はコインランドリーまでやってきた。

洗濯に30分、乾燥に30分で、合計1時間かかることは知っていたので、時間の潰し方について思案してみる。もし丸々1時間暇になるのであれば、川辺に行ってビールを飲んだりもできるが、これを30分ごとに区切られるとそうもいかない。普段であればこの隙間時間を有効活用して近所のスーパーに買い物に行く所だが、その日は買い物の予定もなかったため、鞄に入れていた本を読むことにした。

 

 

何人かの利用者が、洗濯機から洗濯物を取り出して乾燥機に入れたり、乾燥機から洗濯物を取り出していった。誰も言葉を交わさず、音も立てず、粛々と洗濯物を回収していく様子を見て、何だか彼等が幽霊であるような気分がした。

幽霊と言えば、コインランドリーを使う人間が幽霊だとすれば、その洗濯物も幽霊なのだろうか。

この場合、「人間の幽霊→洗濯物の幽霊」という明らかな従属関係が認められるが、逆に回収されなかった洗濯物が成仏しきれずに持ち主であるところの人間の幽霊を生み出している可能性、つまり「洗濯物の幽霊→人間の幽霊」という図式を生み出している場合も考えられないではない。いつまで経っても引き取り手が来ない洗濯物を見ながらそんな空想に耽るのも、やはり暑さが原因だろう。

それにしても暑い。本を持つ手がじんわりと汗ばんできた。部屋に帰ったらクーラーを力いっぱい作動させて、冷えたビールでも飲むことにしようと、冷蔵庫の幽霊であるところの僕はそう思うのだった。